2012年5月3日木曜日

Facebookによって導かれる新しいドットコムバブル


Facebookで来月から米企業の株が買えるようになるのはご存知だろうか。Facebook企業ページで手数料なしで10ドルから株式購入が可能になる。(Loyal3というサンフランシスコ企業が手数料を負担)現在Facebookユーザー数は8億4000万人程度である。潜在的な株式購買層ということで単純に西欧+日本のユーザーで区切っても3億人はいる。アメリカの世帯の18%(2000万世帯)が株式を購入しているということは、単純計算しても15倍の潜在ニーズである。3クリックでFacebookから株式を買うことが出来るという手軽さを考慮すれば、かなりの人が興味を示すだろう。

これを聞いた瞬間「新しいドットコムバブル」という言葉が頭をよぎった。90年代後半の足跡が聞こえてくるようだ。

・ソーシャル系企業にお金が集まる。

ソーシャル系企業にとってFacebookページ上での株売買システムは非常に親和性が強い。「デザイン」 「インタラクティブ」 「話題性」 「友人・知人のコミットメント」 というソーシャルレピュテーションを網羅することはFacebookページ上で人々に株式購買を促進させるキーワードだが、ソーシャル系企業はこの分野に強い。結果他の企業よりも株価を買われやすいだろう。※またもし上場をしていなくても、人々はその企業株に興味をもつことになり、結果、上場を促すことになる。特にB to C、C to C系の新しいサービスを提供する企業にとって、Facebookページ→株式公開の手順は魅力的なので、こちらに戦略をシフトさせる企業も出てくるだろう。これらのサービスはフリーミアムが多く、短期で採算を取ることが難しいからだ。

・ 新しいドットコムバブル?

とりあえずはアメリカ企業からのみ株を売買できるようになるのだが、今後世界展開していくことは確実だろう。日本でも、中国でも、韓国でも良いと感じた企業をすぐ買うことが出来る。中々興味深い。しかし、これはドットコムバブルの到来ではないかという不安もある。もちろん独自モデルやビジネスモデルという点では以前とは違うというかもしれないが、ソーシャル系は課金システムの確率が未だ進んでいないので、これ自体が実態のないものに近いような気がする。結果実体経済を伴わないということは市場の不安定化を導く。ヘッジファンドのリスクにもさらされているし、一度市場がマイナス方向へ動けば、企業の倒産、急激な景気悪化を導くだろう。

・誰が規制・監督をするのか。

この全世界同時不況を規制・監督するための力はどこに付属するのだろうか。たぶんFacebook(アメリカ)であろう。大量の企業・投資したFacebookユーザーをコントロールすることは既存世界システムの枠組みでは不可能である。サイバースペースは国家の領土に属し、そのコンセンサスをとる空間はFacebook以外に存在しえない。

そう、彼にしかできないのである。
政治と経済が同一視される現代においてこの意味は大きい。


※同時に、資金が潤沢にあるのであえて上場しないという選択肢は無くなる可能性が高い。Facebook上での評価が益々重要になる中で消費者ニーズを汲み取らないということは、特にソーシャル系の企業にとって致命的になる。Facebook民の不満、或いは無関心は、経済活動に深刻な打撃を導くので半強制的な公開が行われるだろう。

参考:Facebook関連記事
Facebook Timelineの変更から視える未来とは

0 件のコメント:

コメントを投稿