2011年7月20日水曜日

大都市農民工のソーシャルメディア使用による権利主張と行政府の対応

今回、中国訪問目的の一つは、「大都市農民工のソーシャルメディア使用による権利主張と行政府の対応」という大学院研究テーマを深化すること。

よくマニアックだなぁ(笑)っと言われるのだが、個人的には、中国だけでなく、世界的にみても新しい政治-社会システムを考える上で面白いテーマだと思う。世界でも有数の情報統制力、統治能力を持つ中国が、農民工(出稼ぎ労働者)のソーシャルメディア使用による情報交換・発信に柔軟と強行をどのように織り交ぜ対応し、体制を維持していくか(或いは、崩壊への序章へ導くか)は、社会統治方法について、世界に対して何か示唆を与えてくれるだろうから。

特に、25000万人いると言われ、自己権利のためにソーシャルメディアを駆使しつつある大都市の農民工が、今後3Gモバイル(現在13000円程度)を持ち、様々な場所で使い始めたときの、中央の対応及び中央-地方-社会集団の関係性がどのように変化するのかは興味深い。

中国の不満層は大都市の農民工?

近年、ソーシャルメディアを使い、社会システムを変えようという動きは加速している。
エジプトのFacebook革命からの一連のアラブ諸国での動きはしかり、先日はマレーシアで、政府に対する抗議デモが起こった。ソーシャルメディアはこれらの出来事に対して主要な役割を担った。統制されないメディアで人々に多くの情報を共有し、行動を促したのだから。(政府の武器の破壊)

ただ見逃してはいけないこととして、結局重要なのは、相当程度存在する利益を侵害されていると感じる人のみが実際に行動するということである。いくら、ネット上で不満を上げていても、実際に行動をする人は利害がある人だけである。

中国で一番利益を侵害されていると感じている人はだれであろう。私は特に大都市にいる農民工だと考える。彼らは、大都市に出てきて、はじめて給料の格差を現実として認識する。また企業によっては福利厚生が整備されていることも少なく、そもそも正式な契約を結ぶことも多くない。病気になったら、突然解雇されることもある。また教育や医療が優遇される都市戸籍に変えたくても基本的には変えられず、(1人変えるごとに100万円ほど費用がかかると言われているので、計250兆の費用)これに加えて、差別も存在し、不満がたまる。

もちろん、他の層の人々も共産党政権に不満はあると思う。ただ、なにか行動を起こそうというほどではないと思う。例えば、中流階級層以上の人は自分たちの経済活動のためにも、政治の安定を求めるだろうし、むしろ政権がひっくり返されて、低所得者に利権を取られるほうが怖いだろう。農民も不満はあるが、格差を実際に「認識」する機会は少ない。不満を持っているという点では、蟻族(大卒ニート)の問題も深刻だが、国民的な同情は受けにくいだろう。就職先が無いわけではないのだから。

ソーシャルメディアと3Gモバイル

この不満を持った農民工にとって現在重要なツールになりつつあるのがソーシャルメディアである。突発的な事件(差別や労働条件から来る不満、明らかな過失)が起こったら、モバイルを使って、情報を瞬時に広げ、時には、知識人・NGO等と連携しながら、素早く上級政府に訴えることができるからである。中国では世論を味方に付け、上級政府に訴えることが権利を勝ち取る唯一の方法なのだから。

このような状況は増えつつあるのだが、今後Gモバイルユーザーが農民工の中でも加速度的に増えたらどうなるのだろうか。

ネット上で更に結社のようなものが進むかもしれないし、更なる訴えが上がってくるかもしれない。(集合行為論的には集合財の獲得は難しそうようにも思えるが)

それに対し、中央はどのように対応していくのだろうか。非常に興味深い。

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